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開示請求Navi2026年4月25日

リベンジポルノ・性的画像の流出被害への緊急対応と発信者情報開示請求の進め方

「元交際相手に撮影された動画がアダルトサイトにアップロードされている」「SNSで知り合った相手に送った画像が掲示板に晒されている」──リベンジポルノや性的画像の流出は、被害者の社会生活・精神状態に深刻な影響を及ぼす緊急性の高い被害です。日本では2014年に私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(リベンジポルノ防止法)が施行され、通常の名誉毀損より強力な削除・刑事処罰の枠組みが整備されています。本コラムでは、被害発生時の初動から発信者情報開示請求・刑事告訴・被害者支援窓口の活用までを、時系列で整理します。

リベンジポルノ防止法の概要と特徴

リベンジポルノ防止法は、以下の2つの構成要件に該当する画像・動画の拡散を処罰します。

  • 私事性的画像記録:性交・性交類似行為、性器等の露出、その他の性的姿態で、撮影対象者が第三者に見られることを認識していないもの
  • 公然と陳列・提供・提供の準備:不特定多数への拡散行為

この法律の重要な特徴は、プロバイダ責任制限法の特例が設けられている点です。通常の名誉毀損に比べて、以下の優遇があります。

  • プロバイダへの削除要請から2日で削除擬制(通常は7日)
  • 被害者が申告すればプロバイダ側が免責されるため、削除が通りやすい
  • 刑罰として3年以下の懲役または50万円以下の罰金(提供した場合)

通常の誹謗中傷より削除のハードルが大きく下げられている点が、この法律の最大の武器です。

緊急時の初動:最初の24時間でやるべき3つのこと

性的画像の流出は、時間が経つほど拡散が指数的に広がる性質があります。最初の24時間の動きが、被害範囲を決定づけます。

1. 証拠保全(ただし自ら拡散させない方法で)

  • 画像・動画のURL、投稿日時、投稿者名をテキストで記録
  • スクリーンショットは端末内の暗号化フォルダに保管
  • 拡散元と見られるアカウントのプロフィール・過去投稿も記録
  • 決して知人に画像を送って相談しない(二次流出の原因になる)

2. 信頼できる相談窓口への連絡

  • 警察(サイバー犯罪相談窓口)
  • 法務省人権擁護機関のSNS相談フォーム
  • セーファーインターネット協会(SIA)のホットライン
  • ネット誹謗中傷・リベンジポルノに強い弁護士事務所

3. プラットフォームへの緊急削除要請

各プラットフォームが用意している緊急削除フォームを使い、リベンジポルノ防止法該当と明記して申請します。

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法的根拠:複合的に使える4つの法律

リベンジポルノ案件では、複数の法律を組み合わせて主張するのが実務の定石です。

  • リベンジポルノ防止法:最も中核。削除・刑事罰の根拠
  • わいせつ物頒布等罪(刑法175条):公然と陳列した場合
  • 名誉毀損罪・侮辱罪:画像に加えて誹謗表現がある場合
  • 肖像権侵害・プライバシー権侵害(民法上の不法行為)

また、未成年者の画像が含まれる場合は児童ポルノ禁止法が優先適用され、処罰はさらに重くなります(5年以下の懲役または500万円以下の罰金)。

プラットフォーム別の削除依頼窓口

流出先のサイトごとに窓口が異なります。主要サイトの削除経路を整理します。

大手SNS(X・Instagram・Facebook)

  • 望まないヌードまたは性的画像の共有」専用フォームあり
  • 本人確認書類の提出で最優先審査
  • 通常24〜72時間で削除

TikTok・YouTube

  • 「プライバシー侵害の申し立て」から専用申請
  • 性的画像は動画配信プラットフォームで最も削除が早い

アダルトサイト・動画投稿サイト

  • 多くはDMCA(デジタルミレニアム著作権法)対応フォームがある
  • 日本国内サイトならリベンジポルノ防止法該当を明記
  • 海外サイトの場合、米国のセクション2257違反としても主張可能

匿名掲示板(5ch・爆サイ・Telegram)

  • 掲示板運営への削除要請は通りづらく、弁護士を通じた法的請求が必要
  • TelegramはEU法(GDPR含む)とDMCA経由で対応するケースが有効

削除されやすくするコツ

削除成功率を上げるため、申請時は以下のポイントを押さえます。

  • リベンジポルノ防止法の条文番号を明記
  • 被害者本人であることの身分証明(運転免許証・パスポート)を添付
  • 流出経路(元交際相手から・ハッキングなど)を記載
  • プラットフォーム側の免責を示す文言を添える
  • 警察への被害届・受理番号があれば、より強い根拠になる

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発信者情報開示請求の流れ

削除だけでなく加害者への損害賠償・刑事処罰を目指す場合、発信者情報開示請求で身元を特定します。

ステップ1:コンテンツプロバイダへの開示命令

2022年改正後の新制度「発信者情報開示命令」を利用し、流出先サイトの運営会社に対して投稿者のIPアドレス・アカウント登録情報の開示を求めます。リベンジポルノ案件は権利侵害の明白性が認められやすく、他の誹謗中傷案件より開示が通りやすい傾向があります。

ステップ2:アクセスプロバイダへの開示命令

取得したIPアドレスを元に、ISPに契約者情報の開示を請求します。同時に消去禁止命令を活用し、ログ消去を防ぎます。

ステップ3:元交際相手等への直接責任追及

流出元が元交際相手など身元が既知の場合、開示請求の必要がなくダイレクトに損害賠償・刑事告訴に進めます。

裁判所の仮の削除命令

削除依頼に応じない悪質なサイト運営に対しては、裁判所の仮処分による削除命令を申立てます。リベンジポルノ案件は緊急性が認められやすく、通常の名誉毀損より迅速に仮処分が出る実務傾向があります。

  • 申立てから2〜4週間で決定が出るケースが一般的
  • 担保金は10〜50万円程度(事案により変動)
  • 海外サーバーでも日本の裁判所の仮処分が効力を持つケースあり

刑事告訴の手順

民事と並行して、刑事告訴を行うことで加害者への抑止力・示談促進効果が生じます。

告訴の順序

1

警察のサイバー犯罪対策課に事前相談(証拠持参)

2

弁護士と共に告訴状を作成

3

管轄警察署に告訴状を提出

4

警察の捜査・加害者の聴取

5

検察送致・起訴判断

リベンジポルノ防止法違反は親告罪ではない(2014年改正で非親告罪化)ため、被害者の告訴がなくても警察が動ける事件です。そのため、警察相談の段階で捜査が動き出すケースも少なくありません。

慰謝料相場と損害賠償

リベンジポルノ案件の慰謝料は、一般的な誹謗中傷より高額になる傾向があります。

  • 画像の性質(撮影状況・顔の特定可能性):10〜100万円加算
  • 拡散範囲(アダルトサイトへの転載数):50〜200万円加算
  • 継続期間(削除までの時間):30〜100万円加算
  • 被害者の社会的影響(退職・転校等):50〜300万円加算
  • 元交際相手の場合の信頼侵害:20〜50万円加算

過去の判例では、総額100〜500万円の慰謝料認容が典型的です。悪質事案では1,000万円を超える判決もあります。

被害者支援窓口

法的手続きと並行して、精神的・社会的なサポートも重要です。以下の公的窓口が利用できます。

  • 法務省 人権擁護局:削除要請の代行・相談
  • セーファーインターネット協会(SIA):民間の削除支援
  • ぱっぷす(NPO法人):性搾取被害者支援の専門団体
  • 都道府県の性暴力被害者支援センター
  • よりそいホットライン(24時間無料相談)
  • 法テラス:法律扶助・弁護士費用の立替え

ぱっぷすは、日本初のリベンジポルノ被害専門NPOとして知られ、削除代行から法的相談まで無料で対応しています。

まとめ:リベンジポルノ対応は「スピード」と「専門性」の両輪

リベンジポルノ・性的画像の流出被害は、24時間以内の初動が被害範囲を決定づけます。リベンジポルノ防止法という強力な特別法があり、通常の誹謗中傷より削除・刑事処罰のハードルが下げられているのが特徴です。ただし、実務的には複数法律の組み合わせ・プラットフォーム別の窓口使い分け・仮処分の活用など、専門的な判断が不可欠な領域でもあります。被害を受けた場合、一人で抱え込まず、警察・専門NPO・ネット誹謗中傷に強い弁護士の3方向に同時に相談することが、被害を最小化する最も確実な方法です。自分を責める必要は一切ありません。流出させた加害者にこそ、法的責任が課されるべきなのです。

この記事の著者

開示請求Navi 編集部

発信者情報開示請求・ネット誹謗中傷対策に関する情報を、弁護士・司法書士・IT調査会社などの専門家と連携して発信しています。正確で実践的な情報をお届けすることを使命としています。

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