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開示請求Navi2026年5月2日

発信者情報開示請求を受けた・意見照会書が届いた場合の対応マニュアルと弁護士相談のタイミング

「ある日、契約しているプロバイダから簡易書留で『発信者情報開示に係る意見照会書』という書面が届いた」──ネット上で過去に書き込みをした方が、ある日突然この書面を受け取り、慌てて検索される方が増えています。意見照会書が届いたということは、誰かがあなたに対して開示請求を進めているということです。冷静に対応すれば必要以上に大事にはならないケースも多い一方、対応を誤ると、損害賠償請求・刑事告訴へと発展する可能性があります。本コラムでは、被疑者側の立場から、意見照会書を受け取った後の対応手順を中立的に解説します。

突然届く「意見照会書」とは何か

意見照会書とは、アクセスプロバイダ(NTT・KDDI・ソフトバンク等)が、開示請求の対象となっている契約者に対して、「あなたの発信者情報を開示してよいかどうか」の意見を求める書面です。プロバイダ責任制限法(現・情報流通プラットフォーム対処法)に基づき、開示前に契約者の意見を聴く義務が定められています。

書面には、おおむね次のような情報が記載されています。

  • 開示請求が行われている事実
  • 問題とされている投稿の内容・URL・投稿日時
  • 開示の対象となる情報(氏名・住所等)
  • 回答期限(通常2週間程度)
  • 同意・不同意の選択肢

書面を受け取った時点では、まだ開示は確定していません。意見照会の回答内容と、その後の裁判所の判断によって、最終的な開示の可否が決まります。

意見照会書が届いた直後にやってはいけないこと

慌てて行動して状況を悪化させるケースが多くあります。以下は厳禁です。

  • 書面を破棄・無視する:回答しなくても開示手続きは進む
  • 問題の投稿を慌てて削除する:証拠隠滅とみなされ不利になる
  • 相手方に直接連絡する:余計な刺激で訴訟リスクが高まる
  • SNSで「開示請求来た」と投稿する:拡散されて被害が拡大
  • アカウントを退会・削除する:開示手続きには影響せず、印象も悪化

書面が届いた段階で、事態は法的手続きの俎上にあることを認識しましょう。

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意見照会書を受け取った後の3つの選択肢

意見照会書への対応は、大きく3つの選択肢に分かれます。

選択肢A:開示に同意する

「自分の投稿には特に問題ない」「争うつもりはない」と判断する場合は、同意の回答を返します。同意した場合、プロバイダは速やかに発信者情報を開示し、相手方は損害賠償請求等の次のステップに進みます。

選択肢B:開示に不同意(理由付き)

投稿が正当な意見表明であり権利侵害には当たらないと考える場合は、不同意の回答を返します。この場合、相手方が訴訟または開示命令で争いを継続することになります。

選択肢C:弁護士に相談してから判断

書面が届いた段階で、弁護士に相談して対応を決めるのが最も安全な選択肢です。回答期限内であれば、弁護士名義で意見書を提出することも可能です。

開示同意のリスクと不同意のリスク

どちらを選ぶにせよ、それぞれ別のリスクがあります。

同意した場合のリスク

  • 個人情報(氏名・住所)が相手方に渡る
  • 損害賠償請求の通知が届く可能性が高い
  • 示談交渉で数十万〜百万円超の請求を受ける場合あり
  • 刑事告訴の対象になる可能性

不同意の場合のリスク

  • 相手方が訴訟・開示命令を続行
  • 裁判所で開示が認められれば、結局情報開示される
  • 余分な訴訟費用・弁護士費用がかかる
  • 「不同意で時間稼ぎした」と心証を悪くする可能性

ただし、正当な意見表明なのに同意して不利な立場になるケースもあるため、安易に「同意すれば早く終わる」と判断するのは危険です。

意見照会への回答期限と書き方

意見照会書には通常2週間程度の回答期限が設定されています。期限内に回答しないと、「特段の意見なし」として手続きが進む可能性があります。

回答書には以下を簡潔に記載するのが一般的です。

  • 開示への同意/不同意の意思
  • 不同意の場合は理由(投稿は事実に基づく/意見論評の範囲内/権利侵害ではない等)
  • 弁護士を立てる場合は弁護士名と連絡先

不同意の理由は、「権利侵害が明白とは言えない」という抽象的な主張ではなく、具体的な投稿内容と照らし合わせた論理が必要です。ここの完成度で勝率が変わるため、弁護士の関与が望ましい場面です。

開示が決まった後の流れ:損害賠償請求への発展

開示が認められた場合、相手方は次のステップに進みます。

1

受任通知の送付(相手方弁護士から、損害賠償請求の意思表示)

2

示談交渉(金額・謝罪文・再発防止条項の調整)

3

示談不成立なら訴訟

4

判決による強制執行

5

並行して刑事告訴の可能性

ここで重要なのは、示談交渉で適切に応じれば、訴訟まで行かずに穏便に終わるケースが多いという点です。逆に、示談を拒否したり連絡を無視すると、訴訟・刑事告訴へエスカレートします。

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弁護士に相談すべきタイミングと選び方

意見照会書を受け取った段階で、できるだけ早く弁護士に相談するのが賢明です。

相談すべきタイミング

  • 意見照会書が届いた直後(回答期限の早い段階)
  • 示談を持ちかけられた段階
  • 訴状が届いた段階

弁護士の選び方

  • ネット誹謗中傷案件の経験豊富な弁護士
  • 加害者側(被疑者側)の対応実績がある事務所
  • 初回無料相談を実施している事務所
  • 料金体系が明確な事務所

費用の目安

  • 初回相談:無料〜1万円
  • 意見書作成・回答代理:5〜15万円
  • 示談交渉代理:着手金20〜40万円+成功報酬
  • 訴訟対応(被告として):着手金30〜50万円+成功報酬

開示前に「先回り示談」する選択肢

実務的には、意見照会書が届いた段階で、こちらから先に示談を持ちかける選択肢もあります。

  • 弁護士経由で相手方代理人にコンタクト
  • 早期解決と引き換えに示談金を抑える交渉
  • 開示の同意/不同意の選択を保留したまま協議
  • 示談成立時に開示請求自体を取り下げてもらう

被害者側にとっても、早期に金銭解決できれば訴訟コストを節約できるため、応じてもらえるケースは少なくありません。

開示後にできる対応

万一、開示まで進んでしまった場合でも、まだできることはあります。

  • 相手方からの連絡に対し真摯に対応する
  • 弁護士を立てて示談交渉に集中する
  • 謝罪文書を準備し、再発防止を約束する
  • 投稿が事実に基づくものであれば、証拠を保全して防御に備える
  • 反訴(不当訴訟・名誉感情侵害)の可能性も検討

「開示されたから終わり」ではなく、開示後の交渉でダメージを最小化する戦略が重要です。

投稿内容と責任の判断基準

自分の投稿が法的責任を問われるかどうかは、以下の観点で判断されます。

  • 事実摘示か、意見論評か(事実無根なら名誉毀損のリスク高)
  • 公共の利害に関わる事項か(公共性が認められれば免責される可能性)
  • 公益目的の論評か(私怨か公益かが重要)
  • 真実性の証明可能性(真実なら免責の可能性)
  • 侮辱的表現の程度(人格否定の度合い)
  • 拡散範囲・閲覧数(被害の重大性)

「ちょっと悪口を書いただけ」と思っていても、閲覧者が一定数いれば名誉毀損が成立する可能性があります。

加害者側になっても許されるケース

すべての投稿が違法というわけではありません。以下のケースでは、開示が認められない・損害賠償が低額に抑えられる可能性があります。

  • 公人(政治家・芸能人)への正当な批判
  • 公共の利害に関する事実の指摘
  • 内部告発(公益通報)的な性格の投稿
  • 客観的事実に基づく評価
  • 一般的な感想・意見の範囲内
  • 報道や論評の引用

これらに該当する場合、意見照会書での不同意回答で開示を阻止できる可能性があります。

まとめ:「無視せず、慌てず、専門家へ」

意見照会書が届いたら、無視せず、慌てず、すぐに専門家に相談することが最も重要です。書面の受領から回答期限まで通常2週間しかなく、この間に開示同意/不同意の判断、回答書の作成、弁護士相談を進める必要があります。投稿内容によっては、開示を阻止できる可能性も、示談で穏便に終わらせる可能性もあります。被害者側だけでなく、被疑者側にも適切な手続き保障があるのが日本の発信者情報開示制度の特徴です。冷静に状況を整理し、ネット誹謗中傷案件に精通した弁護士に早期に相談することが、最善の解決への近道となります。

この記事の著者

開示請求Navi 編集部

発信者情報開示請求・ネット誹謗中傷対策に関する情報を、弁護士・司法書士・IT調査会社などの専門家と連携して発信しています。正確で実践的な情報をお届けすることを使命としています。

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